22年度は、混雑に関する問題を2つの側面から分析した。 第1は、混雑課金の分野でセカンドベストと呼ばれる問題において、道路交通網における課金額の意味を、経済学における外部性の観点から読み解いた。 第2は、優先度を適切に割り当てることによる混雑制御方法を提案し分析し、その効果を数値的に検証した。システム全体の効率を上げるために、緊急性があるタスクを特別扱いすることは一般的に行われている。また、仕事量の小さいタスクを優先して処理すると、タスク全体の遅れ時間の平均が小さくなる。このような問題をシステマティックに扱うのが、優先度割当てによる混雑制御方法である。上記の2方法は、待ち行列制御の分野においては、「cμルール」という名で知られている。本研究では、タスクが一様である場合(つまり緊急性があるタスクがなく、タスクの長さにも一様の場合)を考えている。常識的に考えれば、優先度設定が有効に働くとは思えない場合といえる。しかし、このような状況においても、優先度を適切に設定することにより、顧客のインセンティブ構造に影響を与え、システム全体の混雑状況を改善することができることを理論的に示した。またさまざまな数値実験を通して、理論的な結果を目に見える形で示し、その意味を理解しやすい形で示している。
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