本研究は、企業が展開する宣伝広告活動に関して、既存マスコミ媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビの四大媒体)による広告効果が、インターネット広告やブログやSNSといった新しいコミュニケーション手段を含むクロスメディア状況下でどのような影響を受けているかについて焦点を当て、そのメカニズムを構成的手法(エージェント・ベース・アプローチ)によって解明することを目的としている。 研究初年度である昨年度(平成21年度)の活動実績はとしては、関連領域の先行研究の網羅的なレビューを行い、モデル構築の際の理論的な裏付けと基礎的知識の整理をおこなった点である。特に、広告効果測定に関する先行研究、ならびに、複雑ネットワークに関する最新の研究動向については念入りなレビューをおこなった。 さらに、株式会社ビデオリサーチより、同社が取り扱っている既存マスコミ媒体の視聴率調査ならびにメディア環境調査(MCR)データの提供を受け、それらのデータを用いて次年度(平成22年度)以降に本格化する予定のシミュレーション・モデル構築に向けて、プロトタイプモデルを設計・作成をおこなった。また、次年度(平成22年度)中に実証的に収集することが必要とされる、パラメータについての洗い出しを行った。なお、同プロトタイプモデルを用いたシミュレーション結果について、国内外の学会において今年度の研究成果として発表した。
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