ユーザビリティテストにおいて評価される利用品質のうちの効率性とは、ユーザが指定された目標を達成する際の正確さと完全さに費やされた資源と定義されており、ユーザがタスクを実施する際に必要とされた身体的、精神的に要する努力の程度を意味していることから、この効率性はワークロードと捉えることができると考える。そこで本研究においては、この効率性を直接的にかつ定量的に評価できる指標として、ワークロード評価指標を取り上げ、ユーザビリティテストを用いた検討を通じて、ユーザビリティテストの際の効率性の評価指標となり得る客観的・定量的な指標を提案することを目的とした。本年度はワークロードの主観評価指標としてNASA-TLXを取り上げ、ユーザビリティの高低が既に明らかな地方自治体の8Webサイトを用いたユーザビリティテストを通じて、NASA-TLXの効率性の評価指標としての可能性を検討した。 ユーザビリティテストは16名の大学生に対して、ユーザビリティの高い4サイト(高サイト群)、低い4サイト(低サイト群)を用いて、8種の異なるタスクを実施させ、それぞれのサイトを用いたタスク実施時のメンタルワークロードをNASA-TLXを用いて評価させた。その結果、NASA-TLXのAWWL値(総合的ワークロード評価値)、及び下位尺度であるMD値(精神的要求)、PD値(身体的要求)は、高サイト群では低サイト群と比較しタスクによらず有意に小さくなることが示された。一方、既存の効率性の指標として用いられるタスク達成時間、NEM値には、高サイト群と低サイト群の間に有意な差は見られなかった。またAWWL値はタスク達成時間、NEM値との間に相関が示された。 これらの結果よりNASA-TLXは効率性の定量的な評価指標となり得ることが示されるとともに、既存の指標であるタスク達成時間、NEM値よりも感度が良い可能性が示唆された。
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