研究概要 |
昨年度に引き続き反射壁をもつ2次元のブラウン運動やランダムウォークについて定常分布の裾の漸近特性を求める研究を行うと共に,3次元以上の場合への拡張,最適設計への応用,マルコフ変調多次元流体ネットワークなどについて基礎的研究を行った.主な結果は以下の通りである. (1)反射型2次元ブラウン運動の定常分布の漸近特性について大偏差値原理を適用して得られる結果が図形を使って幾何的に解釈できることと,座標軸方向に関しては従来の条件を緩めることができることを明らかにした。本研究はGeorgia工科大学Jim Dai教授との共同研究であり,現在投稿中である. (2)2重M/G/1型モデルの定常分布の任意の方向への漸近特性を解明した。本研究は,助教・小林正弘との共同研究であり,現在投稿中である.また関連研究として,すべての方向への変化量が1以下である場合に,厳密な意味での漸近特性を導いた.この論文は現在印刷中である. (3)3次元以上への拡張については,一部の境界を取り除き積率母関数を取ることにより低次元の問題に帰着する方法について研究し,その有効性を確かめた. (4)反射型2次元ブラウン運動を用いて,待ち行列ネットワークの最適な設計を行う方法を研究し,国際会議で発表した. (5)マルコフ変調多次元流体ネットワークについて定常分布の漸近特性を得るために,定常方程式を導き,基本的な特性について調べた. (6)関連研究として,任意個数の待ち行列があるシステムで到着客が最小の待ち行列を選ぶ場合に定常分布の裾の漸近特性を求めた.本研究は,助教・小林正弘との共同研究であり,現在投稿中である.
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