研究概要 |
平成21年度は主として,ランダムテストにおけるテストケース生成に関連する(準)乱数生成,テスト結果からソフトウェアの信頼性を推定するための数理モデルおよびその基礎をなす確率モデルについての成果を得た.特にソフトウェア信頼性評価モデルでは,Webシステムのログをテストデータと見なしたシステム評価や,ソフトウェア信頼性を推定するためのノンパラメトリックアプローチに関する一定の成果を得た.これは様々なテスト手法によって得られる多様なテストデータ結果からソフトウェア信頼度を推定するために必要な技術である.また,テスト環境要因およびソフトウェア特徴量(メトリクス)を考慮したソフトウェア信頼性モデルの構築も行った.これも,先のノンパラメトリックアプローチと同様にテスト手法と連動したソフトウェア信頼評価の基礎モデルとなる.具体的には,ポアソン回帰とロジスティック回帰の説明変数にテスト環境要因などのメトリクスを適用したモデルの構築を行った.また,ランダムテストに関しては,ベイズモデルに基づいたマルコフ連鎖モンテカルロ法を適用したテストケース生成手法を構築した.ソフトウェアテストを表現するモデルには最も簡単な入力ドメインモデルを適用し,ベイズ推定のフレームワークを適用することで,バグ潜在確率が高い入力を特定し,その入力をテストするテストケースを生成する手法の提案を行った.これは,数値実験において従来のランダムテストよりもフォールト検出能力において優れていることが示された.
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