研究概要 |
平成23年度では,テストケースに関する特徴量と信頼性評価モデルを統合的に扱うモデルの考案を行い,テスト環境を考慮した信頼性評価の体系を確立させた.また,これまでに得られた成果を実装するテストモジュールの開発を行った. テストケースの特徴量解析では,テストケースのメトリクスベクトルとして抽出し,それらのメトリクスとフォールト検出確率の関係を分析した.ソフトウェア製品のテストデータは一般企業では機密事項となるため,広く公開されているテストプロジェクトデータを用いた実験を行ってテストメトリクスを採取し,数量化理論の技術を応用した分析を行った.結果として,プログラム複雑度による要因と,コードカバレッジが大きく寄与することがわかった.また,現在のソフトウェア開発において頻繁に用いられるインクリメンタル開発プロセスに対しても回帰モデルを応用した新たな信頼性評価モデルの提案を行った.このような回帰による古典的な分析を行う一方で,カーネル法を応用し,超高次元で表されるデータ扱うモデルとの統合に関する提案も行った. テストケース生成に関しては,本研究プロジェクトで得られた成果であるマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を用いたランダムテストを行うモジュールの開発に取り組んだ.具体的にはJavaのJUnitを拡張として位置づけられ,プログラム変更履歴によって生じる作り込みバグを検知する機能として,旧・新プログラムをMCMCによるランダムテストを実行するモジュールの開発に取り組んだ.この成果については,次年度の研究会や国際会議で発表する予定としている.
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