研究概要 |
本研究は、ASEAN及び周辺諸国に構築された自動車及び自動車部品相互補完システムに焦点を当て、米国に端を発した2008年秋の金融危機がASEAN諸国の自動車産業に及ぼした影響を明らかにするとともに、相互補完システムを、販売・生産・在庫・輸送の諸機能を持つグローバルなサプライチェーンプロセスとみなして、製品及び構成品・部品の物及び情報の流れをもとに、販売・生産・在庫・輸送システムを数学モデルに定式化し、全体最適化を図るためのサプライチェーンマネジメントに関する理論解析を行うとともに、情報システムめ設計・開発を試み、併せて、その研究成果をある種の静脈物流システムに応用することを目的とし、研究実施計画に基づき、以下のことを明らかにした。 (1)金融危機後2年余を経過した段階での、世界自動車産業の動向を把握するとともに、ASEAN諸国の自動車及び自動車部品産業の動向を明らかにした。(日本生産管理学会第34回、第35回全国大会で研究発表) (2)構成品・部品を効率よく輸送するために構築した巡回混載型輸送モデルに、環境負荷軽減のためCO2排出量を考慮し、総輸送リードタイム及び輸送量の最大値を最小化するとともに、CO2排出量を最小化する輸送経路を探索する方法を明らかにし、輸送スケジュールの作成方法を示した。(IJLS,Vo1.5掲載、21stICPRで研究発表) (3)専用船による完成車の輸送モデルを、輸送リードタイムとCO2排出量を同時に最小化する多目的輸送計画問題に定式化し、その計算方法を考察する。併せて、輸送リードタイムの短縮等、管理技術の向上により得られる効果について考察した。(日本ロジスティクスシステム学会誌,Vol.11掲載、日本経営工学会春季大会・日本ロジスティクスシステム学会第14回全国大会・5thGSCMで研究発表、英文Monograph掲載) (4)自動車産業のサプライチェーンマネジメントの観点から、サプライヤー、メーカー、ディーラー間の物の流れを統合的に考慮した組み立てラインシステムの設計方法について考察した。(5thGSCMで研究発表) (5)自動車部品相互補完システムの数式モデルを基礎に、関連した研究分野である輸送用梱包材リユースシステムの設計・開発を進めた。(日本ロジスティクスシステム学会第14回全国大会・日本生産管理学会第35回全国大会で研究発表)
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