研究概要 |
火山周辺で発生した巨大地すべりと水蒸気爆発について,その要囚,発生頻度,因果関係を,地質学・地形学・地球物質科学・年代測定といったアプローチによって明らかにし,今後の災害予測に役立つ知見を得ることが本研究の目的であった.当該年度は計画通り鳥海火山と蔵王火山について集中的に調査を行った.野外観察調査,年代測定(AMS),試料分析(粒度分析,SEM,EPMA)を行った.これにより鳥海山については水蒸気噴火の発生頻度,発生要因,巨大地すべりとの因果関係を明らかにし,その成果を公表した(論文2編と学会発表1件).蔵王火山については最新の水蒸気噴火の発生要因について明らかにし,現在国際誌へ論文一編を投稿中である.鳥海山では数十年に一度噴火が発生しており,その多くはマグマと熱水系由来物質を放出していることが明らかとなった.2500年前の巨大地すべり発生直後には,一時的に熱水系由来物質を放出する水蒸気噴火の頻度が上がったことが明らかとなった.蔵王火山では,明治28年に火口直下の熱水系由来物質を放出する水蒸気噴火が発生しており,地すべり等とは無関係に,マグマ貫入により噴火が生じている. 当該年度が最終年度であり,期間内全体を通して次の知見が得られた.多くの水蒸気噴火は火山体内部の熱水系を起源としており,地すべりと関連してる場合と関連していない場合があり,いずれの場合もマグマ貫入を伴う場合と伴わない場合がある.この知見を学術論文として公開した.
|