研究課題/領域番号 |
21510188
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 淳 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (70227122)
|
研究分担者 |
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)
宇田川 真之 ひょうご震災記念21世紀研究機構, 研究員 (20514128)
|
キーワード | 火山防災 / 避難オペレーション / 伊豆大島 / 噴火シナリオ / 防災意識 |
研究概要 |
火山噴火災害における有効な避難対策計画を策定するために、求められる条件を伊豆大島をフィールドに行政及び住民に対する聞き取り調査から明らかにした。第1に、専門家と行政、住民の3者で噴火イメージが共有されていことが、警報及び避難勧告等災害情報の円滑な生産・伝達・受容に重要な要件となる。伊豆大島の場合には、噴火頻度が他の災害や他の火山と比べて災害頻度が短いため、行政も住民も意識は高く、知識も類似している。「有感地震を感じることなく噴火が始まる」、「山頂噴火から始まる」、「割れ目噴火に拡大すると居住地に危険が迫る」といった噴火イメージを持つ住民が多い。山頂噴火を経ることなく居住地近くから噴火が始まるケースについても応用問題として含めていく必要がある。第2に、島外避難に関しては、強い抵抗感こそないが、前回については不必要だったのではないいかという評価や、産業面からも島内避難を可能な限り行って欲しいといった意見も見られた。島外避難の契機となる現象に合意が求められるとともに、産業の維持・支援策を準備する必要がある。第3に、高齢化が進んでいるために、避難支援が求められるが、現実的には支援者自体が不足している。また容易に乗船できる施設が必要であるが、現実的には整備が難しい上に、前回と比べて動員できる客船が大きく減少している。第4に、産業面では、観光客入り込み数は年間を通して平準化されており、主力産品である花卉や金目鯛等年間を通して収穫されているものが多く、季節変動は少ない。花卉の場合には、ハウスの室温調節が必要であり、一時帰宅等が望まれる。ひきつづき、平成22年度には、住民調査を行い、避難計画に求められる要件を量的に把握し、計画案へと結び付ける。
|