研究概要 |
本研究では,空中写真を用いた変動地形学的な地形判読に対して,重力異常,地質構造,地震活動などの地下構造のデータを重ね合わせ,個々の活断層の延伸の可能性や,グループ化・セグメント化を考える際の断層離間距離への影響などを活断層進化モデルの観点から考察した.具体的な作業手順としては,空中写真を用いた変動地形の写真判読と詳細活断層分布図の作成,重力異常・地質構造・地震活動の浅部地下構造データとの重ね合わせと関連性の検討,新たな地震規模評価を含めた震源断層の推定である.特に,震源断層の推定では,孤立した長さの短い活断層や活断層分布図上の断層の不連続部について,地質構造の有無,重力異常などに特徴的な指標が認められるか否かを検討し,地下の震源断層の推定と活断層の分布形状を比較した. また,地震発生層の計算手法とアスペクト比の検討のために,1995年以降日本で起きた11の内陸地殻内地震を対象として,実際の規模,断層パラメータと,本震発生前のデータから求めた規模との比較を行った.その結果として,対象地震の余震分布は本震発生前かち計算されたΔ80では収まっていないことと,Δ80から予測された規模は実際の地震の規模と比較して,例えば福岡県西方沖地震では約20分の1の過小評価となってしまうことから,震源の深さの最も浅い値をD0としたときのD90-D0を新たな地震発生層とした.これをもとに,各地震について気象庁CMT解によって求められている地震モーメントMoobs(Nm)から断層面積S(km2)を入倉・三宅(2001)の関係式より導出し,WをΔ90から求めた値を仮定して,L=kWとしたときのkを計算したところ,「震源を特定せず策定する地震動」にあてはまる地震である,岩手・宮城内陸地震,福岡県西方沖地震,鳥取県西部地震について2.1~2.5という値を得た.
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