山梨大学大学院、塙先生からKrFエキシマレーザ装置(波長248nm)を借用し、照射パルスのエネルギーや照射回数、書き込み領域等を変化させて水素充填処理を行ったシングルモードファイバ上にFBG(Fiber Bragg Grating、反射中心波長1550nm)を作製した。また、既存の広帯域光源(ASE光源)と光サーキュレータ、新規購入した光スペクトラムアナライザによりFBGの反射スペクトルを測定できる環境を構築した。 FBGをひずみおよび屈折率用のセンサとするため、グレーティング領域のクラッド層を局部的にRIE(Reactive Ion Etching)により除去した。グレーティング領域(10.0mm)の一部2.0mmを直径約15μmに加工し、グレーティング領域を含む二点を間隔40mmの金属製ファイバストレッチャに接着剤で固定した。ストレッチャの間隔は圧電アクチュエータに印加する電圧で制御した。印加電圧の増加に伴い、未加工部のスペクトルはわずかに、細径加工部のそれは大きく長波長側に推移し、両者のスペクトルは分離された。ストレッチャの間隔を20μm変位させたとき、細径加工部の反射中心波長の変化量は9.5nmであり、未加工FBGの約15倍に相当する。機械的な強度とトレードオフとなるものの、加工サイズを制御することにより、ひずみの測定精度を向上できることが示された。また、未加工部、細径加工部の反射中心波長の差を用いれば、周囲温度の影響を排除できることも特長といえる。 一方、クラッド層を除去したグレーティング領域周囲の媒体を変化させ、屈折率に対してグレーティングの反射中心波長および反射率がどの程度変化するか測定した。具体的には、細径加工FBGと非対称断面形状FBGの各々において、加工領域およびクラッド厚さをパラメータとした。周囲屈折率が石英ガラスと同程度(1.46)までの範囲では、周囲屈折率の増加によって反射中心波長が長波長側に変化したものの、反射率の明らかな変化は確認されなかった。
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