非対称断面に加工したFBGの曲げに対する反射中心波長の変化量について考察するために、反射中心波長の理論値を求めた。まず、応力印加金具の変位によりFBGに生じる曲率を一定と仮定して、応力印加金具の変位量と曲率の関係式を導出した。次に、加工ファイバの断面形状から曲げの中立軸を求め、曲げ方向とコアに生じる歪みの関係式を導出した。これらの結果を用いて、応力印加金具の変位量と曲げ方向をパラメータとして、加工ファイバのコアに生じる歪みを求めた。一つのFBGに対して任意方向から異方性エッチングを行った単一型センサと直列に配置した反射中心波長の異なる二つのFBGに直交する方向から異方性エッチングを行った直列型センサの二種類を対象に、測定値と理論値との比較、検討を行った。単一型センサの場合、測定値は理論値の115%程度であり、今回、実施した方法では曲げを与える際に引っ張り歪みも併せて印加されていることが考えられる。また、直列型センサの場合、測定値は理論値の136%程度であった。単一型に比べ、直列型の方が理論値との差が20%程度大きくなったのは、曲げの印加領域での断面形状の違いが起因し、単一型に比べ20%程度大きな曲率が生じているていると考えられる。 一つのFBGから直列型センサと同等の機能が実現できないかについても実験を行った。グレーティング長20mmのFBGのうち15mmに対し任意方向から、5mmに対し90°異なる方向から各々異方性エッチングを行った。二つの領域では反射率に差があり加工方向も異なるため、曲げを与えた場合、反射中心波長の変化量に差が生じる。応力印加金具の変位量を増大するに従い、反射光スペクトルが二つに分離することが確認でき、直列型センサと類似の結果が得られた。ただし、適用できるのは一定(4.8/m)以上の曲率に限定されることが判明した。
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