次世代シークエンサーデータ探索によるヒトの微小イントロンのスプライシング証明: 昨年度までに本研究プロジェクトで明らかにされた、従来外れ値とみなされてきた短さでありながら、近縁種で保存されている、23個のヒトのイントロンについて、次世代シークエンサーによる公開済みデータの中で、ヒト組織中で転写・スプライシングされている証拠を探した。 ヒトの脳内における公開データ探索の結果、次の遺伝子、HNRNPH1、PLXNA1、ARHGDIG、TNFRSF18、ADAM11の転写産物において、その証拠を得ることができた。 ヒトの微小イントロンの進化的解析: 上記、微小イントロンについて、相同的イントロンの出現パターンを調べたところ、ほとんどがヒトに至る系統に近い系統的位置で派生した形質であることが分かった。これにより、従来から知られていた、ゾウリムシや微胞子虫といった短いイントロンばかりをもつ生物で使われているスプライシング機構とは別の機構で人の微小イントロンはスプライシングされていることが分かった。 本プロジェクトを通じて、従来無視された65塩基長以下であっても、ヒトにおいてスプライシングされているイントロンが存在することを示した。 このことは遺伝子アノテーション作業における重要な判断基準を与えることになろう。イントロンは通常、転写物配列をゲノム配列にマップすることで両者の差異として検出される。そのようにして得られたイントロンのうち短いものについては実験上の誤差やゲノム多型と区別が難しかった。その点を本研究によって、判断できることを示した点は、重要な歩である。
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