南極の低温環境に生息する細菌のゲノム研究は少なく、未開拓の研究分野といえます。本研究は南極に生息する細菌が低温環境に適応して生存を可能としているメカニズムを進化の観点からゲノムレベルでの解明を試みたものです。南極大陸東部の湖沼で日本の南極観測隊により発見され、コケを中心とした多くの微生物との共生構造体である「コケ坊主」から好冷性のPseudomonas属細菌MP1株を分離し、そのゲノム解析を行いました。これまでに他の大陸で分離された近縁のPseudomonas属細菌のゲノム情報と比較した結果、MP1株ゲノム上の全遺伝子のレベルで低温環境に適応してきたことが世界で初めて明らかにされました。
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