研究概要 |
21~22年度の2年間で、矮性トマト系統(Micro-Tom)を用いて、アグロバクテリウム法によりT-DNA挿入株を1,000株作出(Sun et al.(2006)A highly efficient transformation protocol for Micro-Tom,a model cultivar of tomato functional genomics.Plant and Cell Physiology 47:426-431.))し、T-DNA挿入位置の確認と変異形質の解析を行うことを計画した。組換え体作出作業に遅れが生じたため、既に作出済みの100系統について、機能解析に向けた栽培方法(光周期、光強度、温度等)・サンプリング条件・計測パフメータ等についての検討を先行して実施している。 本研究では、次世代モデル作物あるいは次世代ゲノム研究の対象として期待の大きい、「トマト」を植物科学研究の研究対象として捉え、新規な学術領域「植物の内側と外側のテザイン(形熊制御、代謝・情報伝達系統御、そしてこれらとは異なる自己組織的制御など)に今一度眼を向け、その統御系・制御系から見えてくる「植物らしさ」を探る研究」の創成を目指している。本研究でのT-DNA挿入系統作出による研究基盤整備は、研究コミュニティーの活性化を促す最重要課題の1つである。 トマトのさまざまな重要形質の発現のメカニズム理解を目指し、これらの形質発現に必要な遺伝子群の探索を行なっている。作出した系統の中の1系統は、花器官のかわりに葉をつくる変異形質をもつ。この形質とリンクするマーカー遺伝子を1つ同定した。また、シロイヌナズナの花成抑制遺伝子の1つをマイクロトムで過剰発現することで、類似の形質があらわれることが分かっている。トマトにおける花器官/葉器官の分化・維持のメカニズム理解に役立てたい。
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