単量体アビジン固層上における光反応性ビオチン化リガンドを用いた光アフィニティーラベルの検討 昨年度までに合成、性質検討を行った物のうち最も光反応性の高かったトリフルオロメチルフェニルジアジリンを利用し、光反応性ならびにビオチンを持つアミノ酸誘導体を不斉合成により調整した。この化合物のL-アミノ酸酸化酵素(LAAO)による酵素反応に供した所、天然基質であるフェニルアラニンと同程度の親和性を持つことが明らかとなった。この化合物を単量体アビジン担体に吸着させ、LAAOに対するアフィニティークロマトグラフィーを行った所、目的蛋白質の保持、ならびに過剰のビオチンによる溶出が確認された。この担体を用い、固層上での光アフィニティーラベルを検討した所、液層における実験よりも標識効率が低いことが明らかとなった。これはリガンドの配向性が固定されたことにより、1)非特異的な標識が減少したものによるものか、もしくは2)光反応性基と対象蛋白質距離が離れてしまった等が理由として考えられる。今後はこの標識率の低下の原因を明らかにすることを検討していく。 また、溶出後の検出法としての安定同位体標識光反応性化合物の合成もあわせて検討した。アミノ酸の重水素標識法である、酢酸中におけるサリチルアルデヒドとの反応をトリフルオロメチルフェニルジアジリン含有アミノ酸に適用した。この反応には加熱条件我必要であるが、ジアジリン基は酸性条件の加熱に比較的不安定であることが知られている。種々条件を検討した所、通常アミノ酸の反応よりも短時間にすることでジアジリンが分解することなく重水素導入が可能であることが明らかとなった。
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