研究課題
新規ビオチン誘導体の合成と(ストレプト)アビジンへの親和性測定の検討昨年度までに光アフィニティーラベル化後にビオチンと(ストレプト)アビジンの親和性があまりにも強いために引き起こされる、吸着ラベル分子の難脱離性を克服するために、新規ビオチン誘導体の合成に着手した。ビオチン分子はその難容性のため種々の有機反応による誘導体化法が制限されていた。ビオチン分子中のカルボン酸を利用した反応では、容易なアミド化が最も良く使われており、それ以外の有機反応はほとんど検討されていなかった。そこでブレンステッド酸であるトリフルオロメタンスルホン酸(triflic acid)がビオチンの溶解性に優れ、その強酸性性質による芳香族化合物とのフリーデル・クラフト反応触媒もあわせて持つ事を発見した。種々の芳香族との反応において通常の配向性に従い高収率でフリーデル・クラフト生成物を短時間で与えることを明らかとした。合成した化合物群に対しHABA(4'-hydroxyazobenzene-2-carboxylic acid)とアビジン複合体に対する合成化合物群のdisplacement実験を行った。その結果これまでこの評価系ではビオチンよりも親和性が強くなる誘導体はほとんど報告されていなかったが、カルボン酸部分をaryl ketoneに置き換えた化合物群のほとんどがビオチンと同程度か、それより高い親和性を示した。現在この強親和性が、導入したaryl部分のHABA類似構造による物なのかどうかの確認を検討中である。
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