研究概要 |
本研究により、平成21年度には以下の研究成果が得られた。 1.グルコース吸収抑制作用成分の単離と構造決定 これまでの探索研究により見いだされた血糖値上昇抑制作用を示す食品素材のうち、作用メカニズム推定のための各種実験を行なった。グルコース吸収の抑制作用が確認された6種の抽出物について、その成分の単離と構造決定を試み、これまでにモモ葉エキス、カリン葉エキス、コンブエキスより活性成分を単離し、機器分析によりその構造を決定した。グルコースの吸収抑制作用ではなく、糖質分解酵素の阻害作用によって血糖値上昇抑制作用を示すことを明らかにした食品素材についても、キウイフルーツ葉、モミジ葉などの関与成分の単離および同定を行なった。 2.グルコーストランスポーター(輸送体)への作用解析法の確立 既存方法であるウッシングチャンパー/ボルテージクランプを導入してナトリウム共輸送体の動きについては基本的な解析を行った。単離した化合物ついての解析は進行中である。技術上のいくつかの課題については平成22年度において、改善していく計画である。 3.血糖値上昇抑制成分の探索 マウス血糖値上昇抑制作用を指標とした探索研究を継続しており、今年度は新たに約150種類の天然由来抽出物をスクリーニングした。そのうち11種類のサンプルにその作用を見いだした。作用メカニズムの推定実験により、グルコース輸送体を抑制している可能性が高い成分として、3種類を選定し,次年度以降にその関与成分を明らかにする予定である。 また一連の研究を拡張して、糖質以外の輸送に関与する輸送体として脂肪酸やグリセロールの輸送を阻害する可能性があるサンプルを見いだした事から、これらの成分や作用についても研究を広げていきたいと考えている。 これら研究成果は学会発表において発表したほか、学術誌へ論文を投稿中である。
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