本研究により、平成22年度には以下の研究成果が得られた。 1.グルコース吸収抑制作用成分の単離と構造決定 マウス血糖値上昇抑制作用を指標とした探索研究で見いだした天然由来抽出物のうち、グルコース輸送体を抑制している可能性が高い成分として以下の抽出物を選定し、作用メカニズムの確認および関与成分の解明を行なった。その結果、グルコース吸収を抑制する成分として、モモの葉からはマルチフロリンAを単離し、リンゴの葉からはフロリジンを単離した。おのおのの成分は機器分析によりその構造を推定し、文献値と比較する事で帰属した。 これまでの探索研究により見いだされた血糖値上昇抑制作用を示す食品素材のうち、作用メカニズム推定のための各種実験を行ない、2つの粗抽出物がグルコース吸収を抑制する可能性があることを示した。 2.グルコーストランスポーターに対する作用の検討 ナトリウム共輸送体の動きについては基本的な解析を行った。リンゴおよびカリンの抽出物を用いて、共輸送体の動きについて検討した。既存のトランスポーター阻害剤と単離した化合物について、その作用を比較した。これらに加えて、腸管反転法による評価法の導入、in vivoでの推定法の検討により、多角的な解析を試みるとともに、トランスポーターを介さない別の作用を有する可能性についても評価を試みた。 これら研究成果は学会発表において発表したほか、成果がまとまったものについては学術誌へ論文を投稿する予定である。
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