1.Nox活性化因子の調製とNoxの純粋無細胞活性化 Noxa1を遺伝子工学的に調製し、Noxo1、RacQ61Lと合わせてまずはNox2の活性化を検討した。Noxa1はNox2を活性化したが、その効率はホモログのp67より低く、V_<max>はNoxa1/Noxo1ペアーの場合p67/p47のペアーに対し3分の1であった。酵素に対するFADの親和性や複合体の安定性もp67/p47にくらべ低下した。複合体の安定性はNoxa1とRacQ61Lを融合させても改善されなかった。これらのζとから、Noxa1はp67とはかなり異なる性質をもつことが明らかになった。 2.スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とNoxとの関わり Noxの活性化因子のひとつであるRacとSODが相互作用することを見いだした。この相互作用はRacをH_2O_2で酸化すると弱まった。Rac変異体C189Sでは酸化による相互作用の低下がやや抑えられたことからCys189が酸化される残基の1つであることが示された。この場合一部2量化が起こることも明らかになった。 3.βPixの調製 ヒトβPix遺伝子を大腸菌で発現させ、アフィニティー精製・イオン交換クロマトなどを経て均一にまで精製した。精製タンパク質はWestern blottingやTOF-MS質量分析により全長βPixであることを確認した。 4βPixのNox活性化との関わり 精製βPixを用いてNoxの活性化因子Racとの相互作用をDot-bindingにより検討した。RacはGDP型、GTP型ともにβPixと相互作用した。モデル細胞を用いてNox1の活性化に対する影響を、また無細胞系を用いてNox2への影響を検討したが、いずれも活性化といラよりむしろ阻害的に働く結果となった。これはβPixがそのままでは不活性であることに起因すると思われる。活性型にすべく数種の変異体を作製した。
|