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2009 年度 実績報告書

古細菌におけるチオレドキシン系坑酸化システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21510237
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

中村 努  独立行政法人産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門, 主任研究員 (10357668)

キーワードペルオキシレドキシン / 過酸化水素 / 基質結合 / X線結晶構造解析
研究概要

平成21年度は、超好熱性古細菌Aeroopyrum pernix K1由来のPrxタンパク質と基質(過酸化水素)が結合した状態の立体構造を明らかにした。タンパク質と基質の複合体の構造解析では、通常は反応が進行してしまうため、反応中間体や反応前の状態を明らかにすることは非常に困難である。しかし本研究の場合、タンパク質の結晶を基質を含む溶液に浸すことによって反応前の構造を明らかにすることができた。そして、活性部位のシステイン残基の硫黄原子の近傍に過酸化水素が結合している状態を立体化学的にとらえることができた。また、変異導入によりその硫黄原子を酸素原子に置換しても同様に過酸化水素が結合していたことから、基質の結合には直接反応する原子よりもむしろ、周辺の原子との相互作用が寄与しているということが明らかになった。この結果、反応中間体におけるPrxの構造変化に先だって過酸化水素の結合が起こることが明らかになった。また、過酸化水素と周辺の原子との相互作用が明らかになった。これは、Prxの反応のごく初期のメカニズムが立体化学的に理解できるようになるという意義がある。また、これまで他の生物種由来のPrxでは、活性部位近傍に結合した安息香酸のカルボキシル基の2個の酸素原子を過酸化水素に見立てて間接的に基質結合が議論されていた。それが直接可視化できたということは、活性酸素とタンパク質の反応という分野で意義深い発見である。
チオレドキシンについては、本年度はんA.pernix K1のゲノムから3種類の遺伝子を取り出し、大腸菌における発現系を構築した。その一つについては高濃度で均一に精製することができたが、結晶化には至っていない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Crystal structure of peroxiredoxin from Aeropyrum pernix K1 complexed with its substrate, hydrogen peroxide2010

    • 著者名/発表者名
      中村努、門祐示、山口隆文、松村浩由、石川一彦、井上豪
    • 雑誌名

      Journal of Biochemistry Vol147

      ページ: 109-115

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hypervalent intermediate in the oxidation of archaeal peroxiredoxin2009

    • 著者名/発表者名
      中村努
    • 雑誌名

      SPring-8 Research Frontiers 2008

      ページ: 26-27

  • [学会発表] 古細菌ペルオキシレドキシンと過酸化水素の結合2010

    • 著者名/発表者名
      中村努、門祐示、石川一彦、松村浩由、井上豪
    • 学会等名
      平成21年度 産総研・産技連LS-BT合同研究発表会
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      2010-02-04
  • [学会発表] ペルオキシレドキシンの酸化反応における超原子価中間体の結晶解析2010

    • 著者名/発表者名
      中村努
    • 学会等名
      生命物質構造解析研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2010-01-15
  • [学会発表] 古細菌ペルオキシレドキシンと過酸化水素複合体の立体構造2009

    • 著者名/発表者名
      中村努、門祐示、松村浩由、井上豪
    • 学会等名
      第9回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      2009-05-20

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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