研究課題/領域番号 |
21510240
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
高橋 弘 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40021331)
|
研究分担者 |
戸部 博 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60089604)
遊川 知久 国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (50280524)
牧 雅之 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60263985)
津田 智 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (50212056)
|
キーワード | サクライソウ / 菌従属栄養植物 / 絶滅危惧植物 / 腐生植物 / 保全 |
研究概要 |
1.菌根菌の同定:サクライソウの根がパリス型のアーバスキュラー菌根であることを確認し、さらに分子同定により、共生菌はグロムス属のものであることを明らかにした。 2.胚珠と胚の発生:サクライソウは最近の分子系統学的研究により、オゼソウと共に、原始的単子葉類のオモダカ目とヤマノイモ目の中間に位置するサクライソウ目を形成するとされるようになり、単子葉植物の進化を知る上に重要な植物であると考えられる。そこで、胚珠と胚の発生について、オゼソウとショウブ目(単子葉植物の最基部群)、オモダカ目、ヤマイノモ目などと比較した。その結果、多くの形質でオゼソウと一致し、他の群とは明瞭に異なることが判明した。 3.生育環境:照葉樹林、常緑樹を主体とする二次林、ヒノキの人工林など、集団により異なるタイプの林床に生育するが、いずれも相対照度が10%以下で、強酸性土壌の場所という共通性があった(今後も継続調査を予定)。 4.種子発芽試験:室内における様々な条件下(温度や照明)では、3月現在、全く発芽していない。種子発芽に菌類の刺激が必要なことが示唆される。野外播種実験は現在進行中。 5.フェノロジー:調査した可児、木曽、高山の集団において、全体的には6月に地上茎が出現し、7月下旬から8月上旬に開花、10月に種子散布をするが、平均気温の高い順にサイクルが早い傾向にあることが明らかとなった。 6.送粉昆虫:高山集団での調査では、小型のハナバチとアブが確認された。 7.人為授粉実験:高山集団で行い、種子/胚珠(s/o比)が自家受粉で0.342(N=29)、他家受粉が0.92(N=32)となり、近交弱勢が示唆された(詳細は解析中)。 8.集団内の遺伝的多様性と集団間遺伝的分化の解析のため、DNAのマイクロサテライト領域を特異的に増幅するプライマーを設計した。
|