研究概要 |
当所では種子を保有していない植物をホームページに載せ、協力者をつのった。本年度中に収集・保存した種子で登録できたものは827点であった。本研究旅費を使って鹿児島県奄美大島、加計呂間島、沖縄県南大東島、北大東島、高知県などに植物採集に出かけ約500点の標本と100点の種子を収集した。過去のものをあわせると226科5,466種、32,025点の野生植物種子を保有し、うち、冷凍保存している種子は208科3,791種、16,579点となった。このコレクションは多くの種類の絶滅危惧植物の種子も保存しており、「希少野生動植物の生息域外保全」にもつながっている。 撮影できた種子および果実の画像は8,000枚となった。554種の外来植物の種子画像と植物体画像をホームページに掲載し、画像による検索が行えるようにした。 ホームページの帰化植物一覧表を更新し、111科1,640種(雑種、変種、品種を含む)の帰化植物の和名、別名、学名、科名を掲載した。当所に種子を保有していない日本の雑草の一覧表もホームページに掲載し協力を求めたが、現在は30種と残りわずかになっている。 イネ科植物に重点をおいて、果実の画像の撮影、発芽テストを行なった。発芽テストで出来た苗はは栽培し、本年度DNA分析を行なう予定である。イネ科植物の研究は鳥取大学との共同研究に発展しつつある。 カヤツリグサ科植物にも重点を置いて収集し、標本、種子の収集に加えて、カヤツリグサ属の植物について、葉緑体DNAによる系統分類学的研究も行った。第49回日本雑草学会において発表した「雑草を含むカヤツリグサ属(カヤツリグサ科)の分類学的再検討」はベスト講演賞を受賞した。
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