研究課題/領域番号 |
21510243
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
伊東 明 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40274344)
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研究分担者 |
名波 哲 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70326247)
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キーワード | タンポポ / 移入種 / 保全 / 雑種 / 遺伝子汚染 / 外来生物 / 遺伝子解析 / マイクロサテライト |
研究概要 |
1. 西日本における雑種タンポポの分布状況の把握:「タンポポ調査・西日本2010」の予備調査で採取された果実のうち12府県分を用いて、葉緑体DNA解析により雑種タンポポの分布を調べた。その結果、西日本全体の平均では、外見がセイヨウタンポポ型の個体の68.5%、アカミタンポポ型の個体の31.0%が雑種であることが明らかになった。また、いずれの型についても雑種比率が地域によって大きく異なる可能性が示唆されたが、現時点では、こうした雑種比率の地域間差がどんな要因と関係しているのか分かっていない。2010年に行われる本調査では、解析地域と解析サンプル数をさらに増やし、西本全体での雑種分布の詳細な解析を実施する。 2. マイクロサテライト解析のための準備:雑種の分布拡大過程を推定するためのマイクロサテライト解析の準備として、本年度はセイヨウタンポポの既存プライマー18種を用いて、大阪市立大学構内に分布するセイヨウタンポポ、アカミタンポポ、3倍体雑種、4倍体雑種、雄核単為生殖雑種、カンサイタンポポのDNAでの増幅を試みた。その結果、すべての種類のタンポポで使うことが可能な10種のプライマーを選抜することができた。これにより、いずれの雑種タンポポについてもマイクロサテライト解析が可能になった。今後は\、これらのマーカーを用いて雑種タンポポの遺伝解析を進め、分布拡大経路を推定する。 3. 過去の雑種比率の推定方法の確立:過去の雑種比率を推定するために、長期保管果実サンプルからの雑種解析を試み、冷凍、冷蔵、室内の条件下で5~33年保存されていた果実のいずれからも葉緑体DNAによる雑種解析が可能な方法を確立した。今後、この方法を用いて過去のサンプルの雑種解析を進め、雑種比率の推移を推定する予定である。
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