研究課題/領域番号 |
21510243
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
伊東 明 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40274344)
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研究分担者 |
名波 哲 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70326247)
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キーワード | タンポポ / 移入種 / 保全 / 雑種 / 遺伝子汚染 / 外来生物 / 遺伝子解析 / マイクロサテライト |
研究概要 |
1.雑種タンポポの遺伝的多様性と拡大過程の推定:大阪近郊の雑種タンポポ10集団の遺伝的多様性をマイクロサテライト解析(9遺伝子座)を用いて解析した。その結果、在来種が混在しているかどうかに関係なく、各集団のクローン多様性は高かった。これは、雑種集団の遺伝的多様性には、現地での雑種形成より、集団外部からの移入の影響が大きいことを示す。Neiの遺伝距離に基づいたクラスター分析の結果、地理的距離と遺伝距離の間に相関はなく、在来タンポポが混在する集団と在来タンポポのいない集団の多くが異なるクレードに分かれ、遺伝的に分化している可能性が示唆された。在来種の有無による雑種タンポポの遺伝的分化のメカニズムは不明だが、在来種の有無と密接に関わる環境要因による選択が関与している可能性も考えられる。 2.野外での雑種タンポポの形成率:カンサイタンポポ、セイヨウタンポポ、雑種タンポポが混在する2つの群落で、カンサイ(100個体)、セイヨウ(16個体)、雑種(221個体)の遺伝的関係をマイクロサテライトを使って解析した。Neiの遺伝距離によるクラスター解析の結果、各群落の在来、外来、雑種は互いに異なるクレードに分かれた。ベイズクラスタリング(STRUCTURE)解析でも、各群落の在来、外来、雑種は遺伝的に異なっており、雑種集団内に在来集団を起源とする遺伝子が含まれている証拠は得られなかった。更に、在来と外来の交配で得られる雑種の遺伝子型をシミュレーションで推定した結果、こうした交配では実際に観察された雑種の遺伝子型は説明できなかった。これらの結果は、雑種個体のほとんどが、群落外で形成されて移入してきたことを示唆する。一方、カンサイタンポポ果実1891個の遺伝解析から、野外での雑種形成率は0.05%(95%信頼区間:0.001-0.294%)と推定され、低頻度ながら群落内で実際に雑種が形成されている証拠が得られた。
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