本研究では、オセアニア島嶼地域における開発や国際協力のあり方及び方向性について、研究代表者(関根久雄)のほか、研究分担者1名(野田真里)、連携研究者1名(小林泉)と共に次の研究活動をおこなった。 (1)現地調査:(1)2011年8月に14日間、連携研究者の小林泉がクック諸島において我が国のODAの実施状況および現地政府の受け入れ状況、ならびに地域社会の実情に関する調査をおこなった。同国は2011年3月に我が国と外交関係を樹立したばかりであり、同国に対する国際協力のあり方が外交当局にも大きな関心事となっている。 (2)2011年2月に8日間、研究代表者の関根久雄がミクロネシア連邦ポンペイ州で実地調査をおこなった。同国に対する我が国のODAの中心は青年海外協力隊員などのボランティア事業であることから、彼らの活動状況を視察することを通して現地の社会状況の一端を明らかにすることに努めた。 (3)2012年2月に12日間、研究分担者の野田真里がツバル国において実地調査を行った。外洋としては、脆弱な環礁国であるツバルに、気候変動や貨幣経済といったグローバル化の波が押し寄せる中で、出稼ぎ等による現金収入を通じた市場経済への適応、及び生計の基盤である伝統的な自給自足経済のための資源管理について、前年度調査の成果を踏まえて、特に教育・人材育成に焦点を当てて資料収集をおこなった。 (2)成果の公表等:最終年度として冊子型の研究成果報告書を刊行した。そのほか、国際開発学会第22回全国大会(2011年11月26日、名古屋大学)において、本研究の成果の一部として、研究代表者、研究分担者、連携研究者による分科会「オセアニア島嶼国における『自律的発展』とサブシステンス~日本のアジア太平洋協力の新たなフロンティア~」を企画した。 (3)資料収集:オセアニア島嶼地域の現代的諸課題を扱った文献を、前年度分に捕捉する形で収集した(主として研究代表者の関根が担当)。
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