研究課題
本来の研究目的に従って、平成22年度は主に国内に所蔵されていない資料収集を継続して充実させた。昨年度の作業との重複収集を避けながら、冷戦期の日本政府の対外政策に関する米国の介入の程度と方法を明らかにできるもの、及びそれに関係する資料を収集した。韓国ソウルの外交史料館が所蔵している韓米関係、日韓および日朝関係に関する資料も複写・収集した。これらと同時に、日本国内での政党体系の変化、対外政策全般、日韓、日朝関係に関する先行研究を確認・獲得するために千葉所在の「アジ研」でも収集作業をつづけた。平成22年度の研究の主たる目的は、研究初年度の分析フレームに基づいて、上記のように収集した資料を分析することであった。特に日本政府の朝鮮半島政策における米国の影響や介入の程度と各懸案での日本政府の立場を把握することに焦点があった。分析のトピックとしては、日中関係正常化の前後期の日米関係、日本の対韓・対朝政策、韓米関係に関するものであった。具体的には、アメリカは対ソビエト封鎖政策ための東アジアでの同盟関係に損害がない限り、日本の対朝鮮半島政策を基本的に支持したこと、それから日本政府は一定の外交的自主性を持つことがわかった。例えば、70年代中盤、日本政府の北朝鮮との接近に対して韓国政府の厳しい非難があっても、アメリカ側は日・朝間の政治関係での発展のみの牽制に止まって経済・文化交流の拡大は容認したことがわかった。上記の研究結果は平成22年7月に韓国の濟州平和研究院で開催された濟州平和会議、また、平成23年3月30日-4月3日ホノルルで行われたアジア学会で発表した。また、平成23年発行された国際ジャーナルにも研究成果の一部が掲載された。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
East Asian Policy : An International Quarterly
巻: Vol.2, No.4 ページ: 21-28