研究課題/領域番号 |
21510271
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
長津 一史 東洋大学, 社会学部, 准教授 (20324676)
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研究分担者 |
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 人文社会学部, 准教授 (90336701)
青山 和佳 北海道大学, 大学院・メディアコミュニケーション研究院, 准教授 (90334218)
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キーワード | 海域東南アジア / サマ人 / グローバル・アクター / 開発 / 国家間比較 / 民族間関係 / 環境 / 宗教 |
研究概要 |
本研究は、海域東南アジアの周縁民族としてのサマ(バジャウ)人を対象に、1990年代以降のグローバル・アクターを媒介とする広義の開発過程のダイナミクスを比較検討しようとするものである。最終年度にあたる本年度は、各メンバーが過去2年間の調査実績に基づいて、部分的に補足調査を実施しつつ、それぞれの調査研究のとりまとめを行った。長津は、インドネシアの東ジャワ州、マレーシア・サバ州等のサマ人社会における民族生成や自己表象の再編と、観光やイスラーム等の領域へのグローバル・アクターの介入との相互作用について、調査データを整理し、論考をまとめた。青山は、フィリピン・ミンダナオ島ダバオにおける、サマ人の社会階層・社会的不平等観の変化と、キリスト教団体による「福音伝道活動」の展開との相互作用について、調査データを整理し、論考をまとめた。赤嶺は、フィリピン・ルソン島などにおいて、ワシントン条約締約国会議等の国際環境保全アジェンダの小規模漁民社会へのインパクトに関する広域調査を行った。その調査は、サマ人社会と他の小規模漁民社会との比較に基づいて、環境グローバル・アクターの介入を背景とする海民の生業変容の同時代性とそのパターンを明らかにしようとするものであった。 これらの活動をふまえ、6月、長津と青山は東南アジア学会研究大会のパネルにおいて、近代国家以降の開発アクターの関与とサマ人社会の変容に関する研究報告をおこなった。11月には、白山人類学年次フォーラムにおいて、同じく長津と青山が、宗教や観光の領域でのグローバル・アクターの関与に着目して、島嶼部三カ国のサマ人の自己表象の変遷に関する考察を発表した。2月には、台湾中央研究院で開催されたAsian CORE Program Seminarにおいて、長津がインドネシアのサマ人の民族生成の歴史過程について、赤嶺がフィリピンのビサヤ系海民と環境NGOとの海産資源利用をめぐる相互作用についてそれぞれ報告した。
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