研究概要 |
本研究は,日本の都市の路上(ストリート)をフィールドに,グローバルなディアスポラのモチーフが,ストリートの表現文化にどのように受容され,その表現文化をどのように変容させているかを探ると同時に,それらのディアスポラ的・周縁的なモチーフがつねにさらされている社会的排除の圧力や緊張が,この表現文化にどのような性格を与えているかを,主にフィールドワークとインタビューによって,具体的かつ実践的に調査し考察するものである. 2010年度は,東京都渋谷区立宮下公園のナイキ・ジャパン社による改修工事に反対するアーチストらの運動をとりあげ,公共空間の意味,メディアのあり方を含めた,公共性をめぐる議論を深める一年になった.主な活動は以下の通りである. 1.「みんなの宮下公園をナイキ公園化計画から守る会」「宮下公園アーチスト・イン・レジデンス」をはじめとする,宮下公園での多様で創造的な活動への継続的な参与と調査. 2.7月に駒澤大学で開催された「カルチュラル・タイフーン2010」への全面的な協力および,展示ブース出展. 3.11月20日,27日に早稲田大学で,公共性をめぐる連続シンポジウムを開催. 4.紙媒体,映像を含む宮下公園の活動のアーカイブ化の着手. その他の成果は,連携研究者によって随時論文や学会発表等にまとめられている.また研究遂行の母体である「ストリート研究会」を中心に,活発な人的交流と意見交換を通じて,アクチュアルで領域横断的な文化研究のネットワークを築いてきた.
|