研究課題/領域番号 |
21510283
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 真由美 富山大学, 経済学部, 准教授 (30401269)
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研究分担者 |
三輪 哲 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (20401268)
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キーワード | ジェンダー / ワークライフバランス / 専門職 / 医師 / ライフコース / 女性 / 医療社会学 / 法社会学 |
研究概要 |
本研究では、医師と法曹という専門職のワークライフバランスの比較研究の一部として、医師に焦点をあて(平成18年度科研費で実施した、弁護士に対する調査と比較可能な設計とした)、男女医師に対してwebモニター調査を実施した(2010年3月実施、有効回答数1876票、女性306票、男性1570票)。まず、医師の就業形態、勤務先、専門分野、地位、職業履歴におけるジェンダー差や、婚姻率や家庭における家事・育児分担等のジェンダー差の状況を明らかにした。初期のキャリア(研修や研修先など)については、ジェンダー差はほぼ見られないが、その後の子育て期に就業形態や就労先に違いが現れる。専門分野については、当初、女性医師は家庭と両立するために途中で専門分野を変更すると予想したが、専門分野を変更した比率は男女でほぼ同じ(10%程度)であった。ただし、当初の専門分野選択の理由は男女で異なっていた。男性医師は興味を理由に専門分野を選択する傾向が女性医師より強く、女性医師は男性医師に比べて、家庭との両立のしやすさ(理解のある上司や同性の先輩の多い医局を選ぶ、夜間呼び出しの少ない科を選ぶ等)を考慮して選ぶ傾向があった。この傾向が(医師不足の一因ともみなされている)女性医師の「専門分野選択の偏り」につながっていると考えられる。また、有配偶率は女性医師が53.3%であり、男性医師が84.0%で大きな差があった。配偶者が医師である比率は、男性医師が10.2%であるのに対し、女性医師が57.1%であり、大きなジェンダー差が見られた。男性医師は専業主婦と結婚している傾向が強い。また、子育てを5割以上負担している比率は、男性医師がわずか4%であるのに対し、女性医師は97%だった。男性医師の配偶者は専業主婦である傾向があり、家事育児の多くを妻に頼ることが可能であるが、女性医師は医師同士で結婚する傾向にあり、家事育児の大半を担っていた。
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