本研究は、日本において雇用形態の違いによってもたらされる処遇格差に対し、その解消に向け、労働組合がおこなっている政策と運動の展開についてジェンダー分析するものである。そのために、国内の雇用状況や議論を踏まえ、かつ国際機関からの要請内容やジェンダー研究の重要な成果を取り入れつつ考察し、労働組合が多様な要求や見解をどのように集約し、そのための行動がどのようなものかについて検討する。 本年度の研究では、研究課題に沿って次の項目について検討と考察をおこなった。一)雇用状況と処遇格差について性別・産業別・職種別等から把握し、また各産業・職種別、雇用形態別に労働組合への参加状況を確認した。並行して、国内外のジェンダー研究、労働研究の文献資料について検討した。二)労働組合の雇用平等政策に関して、労組の資料を収集し、また旧・現役の労働組合員のインタビュー調査を実施.して、運動上の政策課題について考察した。三)雇用平等政策において先行すると考えるイギリスの労働運動に着目し、労働組合作成の一次資料調査をロンドンにて実施した。四)本年度の研究の進捗や成果を研究会で報告した。そこでの質疑や議論を踏まえ、来年度以降、研究をさらに深めたい。
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