I 文献の収集や議論の検討、II学会に関する情報の収集、III研究者インタビュー調査(理系分野の研究者(建築学・微生物学・物理学・生物学・工学・解剖学・工業化学・情報科学・地球環境科学等)合計15人にインタビュー調査を実施し、それぞれの研究キャリアや研究スタイル、ハラスメントについての考え方や経験などについて聴き取りをした。また、研究倫理問題の専門家1名に、研究倫理や研究成果の評価、オーサーシップをめぐる議論の動向などに関するインタビュー調査を行った。)IV研究交流。 これらの作業により、次のような論点を抽出することができた。 1) 文系分野と比較すると、理系の研究者の業績は、オーサーシップ、発表言語、発表媒体(グローバル化)、論文の文字やページの量、生産する論文の数の平均などにおいて、大きな違いがあること。 2) 理系の中でも、各学問分野によって、オーサーシップや著者の順番の意味づけなどが異なること。 3) い、オーサーシップなどいくつかの研究ルールの変化が起こっており、日本の理系研究者は、旧来の慣習とのダプル・バインドの問題に悩まされつつあること。5)アカデミック・ハラスメントが生じる背景として、オーサーシップや研究費や装置などの「共有」の構造がしばしば語られること。講座制の研究機関とそうでないところでは状況に差異があること。6)講座制におけるハラスメントも語られるが、同時に「理想的な共同研究関係」として、講座制の中での研究体験を有する研究者も少なくないこと。7)科学における不正(ミス・コンダクト)と、大学におけるハラスメント問題とは、密接に関連する問題であるにもかかわらず、これまで別々の主体によって議論が展開されてきたこと。
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