研究概要 |
医学系以外の日本の上位15大学の自然科学者に問う量的調査の集計、分析作業を実施した。回収率:32.9%(回答者数986名)【研究スタイル等の主な特徴】「大型機器や装置が不可欠」が7割強、「外部資金が不可欠」が8割強、「企業との連携」は3割に留まる。研究室タイプは、いわゆる小講座制タイプが4分の3、研究室レベルでの研究費は1000万円以上が4割強、業績は論文が9割、うち共著者論文9割、英語論文9割、領域による発表スタイルの違いがみられた。【研究規範のありかた】「集団主義的規範」「成果主義」「科学的普遍性に対する信頼」の3つの規範すべて全体として高い傾向性、いずれも年齢、性別、職位による有意な差は無し →年齢による規範意識を想定した予想とは外れる。いずれも領域による違いが確認された(農学はすべて高い傾向性を示した、数学はすべてにおいて低い、工学は、どの領域でも概ね平均的な値を示した)【過去の指導教員との関係】全体で7~8割は良好な関係があった。男性の方が「気軽に相談できた」が高く、「人格的に尊敬できた」も男性に高い。「気軽に相談できた」は工学でやや高い。学位別には「研究熱心だった」が理学、医学に高い。講座制タイプの研究室、工学系研究室では、サポーティブだが、自由度は低い。女性は、男性ほどにはサポーティブな環境で、かつ指導教員との良好な関係を経験していない。【論文のオーサーシップ】総計3500人の著者のうち、14.1%、494人だけが厳密にICMJEの基準を満たした人だった。ミドル・オーサーでは下働き的な作業をした者を入れる割合が高くなる傾向があった(17.9%~31.1%:ミドル・オーサー全体で22.6%)。単なる「同じ組織の長」というだけの人も、ラスト・オーサーのうちの9.7%・66人、ミドル・オーサーのうちの6.3%・135人、全体の5,8%、存在した。・分野別では、著者数があまり多くない数学を除いて比較した場合、有意な差はみられなかった。38.7%の回答者が「ギフト・オーサー」の経験があり、27.8%がゴースト・オーサーにされた経験がある。この問題に関する見解は両義的であり、さまざまなとらえ方が自由記述欄等に記されていた。
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