平成25年度においては、次のとおり研究を遂行した。第一に、前年度より継続して、内務省警保局所管行政における女性政策の歴史を明らかにするため、婦人警官論、社会運動取締、風俗警察や性病対策(花柳病予防など)についての一次資料の収集や整理を行った。第二に、前年度より継続して、内務省社会局所管行政である職業紹介事業や、大都市の社会局によって実施された職業婦人調査等に関する一次資料の収集や整理を行った。職業紹介事業等の資料整理を行うなかで、以下のことを確認した。職業紹介事業において求職者総数に占める女性の割合がしだいに増加していたこと、また、調査報告において、職業婦人として中流階級の女性が一定程度みられることが特記されていること等。第三に、内務省の政策立案や制度構想に携わる官僚や政治家のほか、政策実施に携わる技官や嘱託などの論文集や回想録、伝記などの整理を進めた。とくに、社会局所管行政においては、事業や調査に直接携わった嘱託などの資料において、女性の状況や女性像を考察するうえで参考となる記述を多く確認することができた。以上を踏まえて、地方局における地方行政制度構想、衛生局における看護婦養成、社会局における職業行政、警保局における婦人警官論や花柳病対策などを中心として、それぞれの政策の展開過程や、政策に関与した官僚らの女性像などを整理する作業を行った。
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