研究課題
本研究は、ドメスティックバイオレンス(以下DVと略す)のなかでも、とくに結婚前の(主として)男女間で生起する「デートDV」に焦点をあて、量的・質的な調査を行い、多角的に検討するものである。2001年の「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(いわゆるDV防止法)」の制定を受け、DVの理解は急速に深まったが、未婚者間の暴力はDV定義から取りこぼされてきた。近年はデートDVに関する啓蒙や実践が行われはじめているが、デートDV研究は、実践的なプログラムや、禁止行為に関するマニュアルなどの実践性ばかりに重点が置かれてきたきらいもある。本研究は、これらの先行研究や実践の意義をじゅうぶん認めたうえで、「デートDV」を暴力として認識することを阻むものを理論的にも検討することを目標とし、暴力に関する認識がどのように構築され、男性性がどのように暴力によって構築されているのか、デートDVを成立させるものは何かといった基礎的な問いを理論的・実証的に読み解くものである。アメリカではどのような取り組みが行われているのかを調査するため、まずアメリカのワシントンD.C.にあるNPO団体、「Men Can Stop Rape」を訪問し、デートDVへの取り組みについてインタビュー調査を行った。NPOがどのように学校などから委託を受け、どのようにリーダーを育てながら啓蒙活動をおこなっているのか、またキャンペーンのやり方など詳細に調査することができた。さらにコロンビア大学を訪問し、キャンパスにおけるデートDVほかの取り組みについてインタビュー調査を行った。折しも新入生の受け入れ期で、具体的にどのように学生にアプローチしているのかを知ることができた。
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上野千鶴子に挑む(千田有紀編)
ページ: 3-29
成長と冷戦への問い 高度成長の時代3(大門正克ほか編)
巻: 3
思想
巻: 1033巻 ページ: 172-191
家族社会学研究
巻: 22(2) ページ: 190-200
治療者のための女性のうつ病ガイドブック(上島国利監修, 平島奈津子編著)
ページ: 79-86