H22年度に実施した調査から、以下の分析が可能であり、成果は『現代インド研究』特集論文として採択された。 (1)ケーララ州S村における女性の政治経済参加に関する継続調査 10月のパンチャーヤト選挙で、50%の女性枠が新たに導入され、調査村で聞き取りをしてきた主婦議員のうち、一名が郡議会議員(女性枠)に当選し、二名が再選(いずれも女性枠)された。いずれも出馬の意欲を示していた議員で、この他の女性議員との間で最後まで確執があった事例もあり、「政治化する主婦」を例証するものである。 (2)グジャラート州におけるパンチャーヤト・ラージと女性の政治参加に関する予備的調査:州間格差を見る目的で実施。「女性法廷」(9月4-5日:アーメダバード市)に参加。女性議員30人に質問紙調査を実施。また女性の政治参加を支援する女性NGOネットワークとの意見交換をした。グジャラート州は住民主体の村落ガヴァナンスからは程遠い状況にあり、県パンチャーヤトにようやく審議会が設置されはじめた段階である。しかし女性議員には村の課題(SAMRAS村指定)やベーシックニーズのおける問題を提起する者もあり主体性が示されつつある。また村落政治に参加する際のジェンダー問題(「三重の負担」「女性軽視」「知識・技術不足」など)については、ケーララ州との共通点が明らかになった。
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