研究課題/領域番号 |
21510297
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研究機関 | 筑紫女学園大学 |
研究代表者 |
喜多村 百合 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (20284458)
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キーワード | 開発とジェンダー / パンチャーヤティ・ラージとジェンダー / ケーララ州、UP州 / 新たな社会資本形成 |
研究概要 |
H23年度に実施した調査を踏まえた分析と、研究成果は以下のとおりである。 (1)ケーララ州T県S村での女性議員の政治参加に関する継続調査 Women's Component Planである小規模貯蓄・起業プログラムKudumbashreeにより、組織された近隣グループ(NHG)内の相互行為を通して、新たな社会資本が形成されつつあることが示唆された。 またもう一つの「社会資本」として注目されるのが、T県の女性パンチャーヤト議長たちが立ち上げた独自のウェブサイトで、ITを利用した女性のエンパワーメントを実施するNGOの支援で可能となり、意見表明・交流の場とし活用している点が注目される。 (2)パンチャーヤティ・ラージ制(PRI)と女性の政治参加の州間比較調査 UP州V県N村、ケーララ州T県S村の女性議員と政府系女性組織マヒラ・サマーキャ(MS)を訪問し、聞き取りを中心に調査した。PRI先進州であるケーララに比べて、UP州では機能上著しい遅れが認められた。一方女性組織MSの比較では、UP州で女性の政治参加を促す活動が女性を積極的にさせているが、高度に政党政治化したケーララ州のMSは「主婦業」や。少数部族の女性」が重点東事項として扱われており、女性議員のジェンダー意識に関しては保守的傾向が認められた。 成果は以下の二論文として公表した。 1)「ローカル・ガヴァナンスのジェンダー化と女性の政治参加-ケーララ州女性議員のジェンダー意識調査(2009)を中心に」『筑紫女学園大学人間文化研究所紀要』第22号(2010)、237-248頁 2)「インド・ケーララ州の地方自治改革とジェンダー-Women's Component Planを中心に」『筑紫女学園大学紀要』第7号(2011)117-127頁
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り調査が実施され、分析を踏まえて成果公表もおこなわれている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるため、ローカル・ガヴァナンスと女性の政治経済参加に関する分析を総合化し、学会および学術誌において成果の公表を行っていく。 さらに今回の調査・研究から示唆された、ローカル・ガヴァナンスを促進させる要素としての新たな「社会資本」である女性組織について、今後の研究課題として深化させる所存である。
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