H24年度実施した調査・研究は以下のとおりである。 1.2009年政権交代後のUDF政権下の地域ガヴァナンス策と課題。2.第三期議員(2010年10月~2015年10月)に対する定性的・定量的調査。特に女性議員のガヴァナンス参加とジェンダー関連事業計画策定。3.州計画委員会実施の女性議員意識調査結果分析(2009年) 「分析結果」1.LDF政権によるPPC策は、UDF政権交代時に積極性が失われる傾向がこれまでも指摘されてきたが、同様の問題がDr.Harilal(CDS准教授:地方自治論)とのディスカションからも示された。第一に予算が減額されていること、第二に村落住民による開発事業策定が専門性において困難になっていること、第三に、第二の結果、上位議会への上程が遅れ、年度末の駆け込み執行という傾向が顕著になっている点である。2.制度の定着を示すように、現議員は公的職務に期待感を持ち業務をこなしており、余裕も見える。新規的な事業提案として、一般事業については農業生産が強調されており、女性事業としてはジェンダー調停室活性化案や、女子への自転車貸与などが挙げられている。女性議員たちによる党を超えた事業提案はいまだ実現していない。3.女性議員が誕生後、自治行政は女性住民により身近になっている点を、調査村の実態も加えながら分析した。女性住民が持ち込む案件は、半数が公的給付に関するものだが、それ以上に家族問題や隣人問題がもちかけられ、「親密圏」をめぐる問題が大きな位置を占めている点が、ケーララにおける地域ガヴァナンスの重要変数がジェンダーであり、また女性議員がそれを顕在化させる役割を果たしているといえる。
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