平成23年度は本プロジェクト最終年度であり、これまでの研究を論文(Roboethics and the Synthetic Approach. A Perspective on Roboethics from Japanese Robotics)としてまとめた。本論文は昨年度のドレスデン(ドイツ)でのワークショップでの発表内容を展開したものであり、海外共同研究者のIrrgang教授たちの編集による論文集Robotics in Germany and Japan: Cultural and Technical Perspective(Peter Lang社より出版予定)に掲載されることが決まっている。上記論文では、米国などの動向とも比較しながら、日本のロボット研究における構成論的アプローチの位置づけを明確化するとともに、ロボット倫理において構成論的アプローチを取り上げることの意義について論じた。また、近年のロボット研究が発達科学等との連携を深めていることから、発達科学研究へのロボット研究の応用に関する哲学的・倫理学的含意に関して考察を行い、コペンハーゲン大学で行われたワークショップで発表(Robotics for developmental studies:Philosophical and Ethical Implications)を行った。本発表では、発達研究へのロボット研究の応用が、工学的に実装可能な理論に依存してしまう危険性や、構成可能なもののみを研究対象とする「構成論的誤謬」に陥る危険性があることを指摘した。さらに、オーフス大学(デンマーク)では、上記論文(Roboethics and the Synthetic Approach)にもとづき、これまでの研究成果をまとめた講演を行うとともに、今後の共同研究の進め方に関する協議を行った。
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