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2010 年度 実績報告書

ソクラテスの対話の構造と真理

研究課題

研究課題/領域番号 21520008
研究機関静岡大学

研究代表者

田中 伸司  静岡大学, 人文学部, 教授 (50207099)

キーワード倫理学 / 哲学 / 西洋古典 / ソクラテス / 対話 / プラトン
研究概要

プラトンの対話篇『ゴルギアス』と『ソクラテスの弁明』において、ソクラテスは知の所有者であることを否認する(「無知の自覚」)とともに、じぶんこそが真実(alethe)を語る者であると断言する。本研究は、この知と真理(alethe)をめぐる否認と断言が互いにどのようにかかわり合っているのかを明らかにし、そこに見出される真理の捉え方が『パイドン』における想起説と通底しているという仮説を論証することを目的としている。平成21年度においては『国家』と『弁明』を分析し、『国家』については日本西洋古典学会の欧文雑誌(JASCA)に、そして『弁明』については(前年度の『ゴルギアス』の分析と合わせて)『理想』(理想社686号)に、研究の成果を発表した。また、日本倫理学会での主題別討議(「道徳(徳)は教えうるか」)において、想起説をめぐる本研究の成果の一部を発表した。すなわち、想起とは失われてしまっているものへの回帰あるいは欠けているもの・不在であるものの発見である。それは、他方、過去を美化し聖域化し、そのように想起された事柄を共有する者たちの閉ざされた共同体を形作るという問題をはらんでいる。しかしソクラテス・プラトンの想起説は少なくとも、わたしたちの価値にかかわる思考には想起という、レトロスペクティヴな構造があるということを示している、と。ソクラテス・プラトンの知と徳の問題が形而上学的なあるいは超越的な世界と没交渉に理解されるとき、それは単なる個の内面的な涵養となり、習慣や性格という位相によって捉えられてしまうであろう。したがって、次年度においては、対話という共時的な営みと、イデア・想起説という超越との関わりについての分析が、研究の課題として視野に入ってくることとなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ソクラテスの問い2010

    • 著者名/発表者名
      田中伸司
    • 雑誌名

      理想

      巻: 685号 ページ: 2-12

  • [学会発表] 主題別討議・道徳(徳)は教えられうるか-問題の始発点と歴史的回顧-2010

    • 著者名/発表者名
      田中伸司
    • 学会等名
      日本倫理学会
    • 発表場所
      慶応義塾大学・三田キャンパス
    • 年月日
      2010-10-09

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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