研究課題/領域番号 |
21520009
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
松田 純 静岡大学, 人文学部, 教授 (30125679)
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研究分担者 |
堂囿 俊彦 静岡大学, 人文学部, 准教授 (90396705)
神馬 幸一 静岡大学, 人文学部, 准教授 (60515419)
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キーワード | エンハンスメント / 願望実現医療 / 司法精神医学 / 生命倫理学 / 脳神経倫理 / 人間の尊厳 / 先端医療技術 / 自己処分権 |
研究概要 |
・平成22年度までの成果をふまえて、エンハンスメントの現状とそれをめぐる議論について、とくにドイツ語圏の脳神経科学とニューロエンハンスメント、司法精神医学の状況を調査し、論点を整理した内容を日本犯罪学会第48回大会等で発表した。エンハンスメント論、脳神経倫理などを含むドイツの優れた研究書の翻訳作業を進め、刊行の準備を整えた。リハビリテーション医学や神経難病者の治療にロボットスーツHALが使用される状況について調査し、ニューロエンハンスメント論の見直しを行った。 ・遺伝子操作や生命操作によるエンハンスメントについて研究成果を市民むけ公開講座で3回発表した。 ・エンハンスメント論を願望実現医療という新しい概念のなかで捉えなおし、その成果を日本倫理学会第62回大会主題別討議「病と健康」で発表し、同学会誌『倫理学年報』に論文を発表した。また『医薬ジャーナル』47号および『医療の本質-医療の本質と変容伝統医療と先端医療のはざまで』(九州大学出版会)に論文を発表した。 ・エンハンスメントについての従来の概念からは意外と思われるが、願望実現医療という概念には安楽死や自殺幇助も含まれる。それらの「医療行為」が医療の目標との関係において問われるからである。これに関する論文を2点、日本生命倫理学会や学術講演等で4回発表した。 ・以上の活動を通じて、エンハンスメント論を願望実現医療論へと接続し、医療の目標・本質をめぐる議論のなかでエンハンスメント論をとらえなおし、研究成果をホームページでも公開し、わが国における議論をより広い医療文化論の地平へ導くための基盤を提供することができた。
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