• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

老後生活のQOLと「場」に関する日中比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 21520015
研究機関広島大学

研究代表者

松井 富美男  広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60209484)

キーワード老い / 場 / QOL / 高齢者 / 中国 / 独居老人
研究概要

本年度は、老いのQOLと「場」の関係を明らかにするために、(1)老いの風景調査、(2)QOL概念の解明、(3)老いのQOLの日中比較、という三つの研究計画を立てた。(1)については、「仲間」や「グループ」の視点からのものと「家族」や「血族」の視点からのものとがある。前者に関してはまだ資料収集の段階にあり、今後も継続していく。後者に関してはある「空き巣老人」の現状調査をした。これにより「空き巣老人」だけでなくその家族にも独自の「場」があることを突き止め、また中国政府が進める家庭介護の実態とその問題点を浮き彫りにすることができた。,これらの調査結果を踏まえて論文にした。(2)については、QOLが二面性を持ち、一般的なQOLが客観的なのに対して老いのQOLが主観的であること、そして主観的なQOLが「生きがい」と親和性を持つことを明らかにした。この論究結果もまとめて論文にした。(3)については、西南大学(中国重慶市)で開催された国際シンポジウムにおいて「老いと生命倫理」という講演をおこなった際に老いのQOLを話題にし、その日中間の異同を検討した。その結果、中国の老い文化が主観的QOLを重視していることが明らかになった。
以上から、「独居老人」が自分の生活スタイルを変えようとしない理由の一つに「場」の喪失への不安があること、「場」が主観的なQOLと密接に関係すること、QOLが「場」を規定するのではなく「場」がQOLを規定すること、そして老いの「場」が高齢者に「生き添い」を与え、そのことが結果的に老いのQOLの向上に繋がることなどが明らかになった。一般的には計量化による客観的なQOLの提示が高齢者のQOL研究の中心になるが、それだけでは不十分である。主観的なQOLと「場」の関係にも着目できれば、高齢社会対策をより効果的にすることができるだろう。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 中国における「空き巣老人」という社会現象をめぐって-老いに関する日中比較研究-2012

    • 著者名/発表者名
      松井富美男
    • 雑誌名

      HABITUS

      巻: 16巻 ページ: 27-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] QOL概念の再検討-生命倫理及び老い研究のキーワード-2011

    • 著者名/発表者名
      松井富美男
    • 雑誌名

      「総合人間学」実施報告書

      ページ: 54-64

  • [学会発表] 老いと生命倫理2011

    • 著者名/発表者名
      松井富美男
    • 学会等名
      現代倫理学国際検討会-現代倫理学に関する国際シンポジウム-
    • 発表場所
      西南大学(中国重慶市)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-14

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi