研究課題/領域番号 |
21520019
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
圓谷 裕二 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60227460)
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キーワード | 超越論的哲学 / パースペクティヴ主義 / カント / フッサール / モナドロジー / 言語論 |
研究概要 |
研究の目的は、認識一般に関して、その究極的基礎づけを目指す超越論的哲学と究極的基礎づけを不可能と見なすパースペクティヴ主義に関して、両者の立場を比較検討しながら、近現代哲学の根底にある根本思想を照らし出すことである。 本年度は、超越論的哲学の代表者として近代哲学ではカントを、現代哲学ではフッサールを取り上げながら、彼らのうちにある認識論の基礎づけのあり方を研究した。特にカントにおいては、批判哲学のうちに、超越論的哲学の基本的動向とともに、それに矛盾するかのような立場を見届けるために、彼の第三批判書である『判断力批判』における「反省的判断力」について考察した。またフッサールにあっては、中期の超越論的哲学と後期における生活世界概念との間に、彼の超越論的哲学における変様の有様を跡づけた。 パースペクティヴ主義に関しては、近代哲学ではライプニッツのモナドロジーにおける無数のモナドのもつ視点の相互関係を研究するとともに、現代哲学においては、メルロ=ポンティにおけるパースペクティヴ主義を言語論の観点から解明した。 以上の研究成果から明らかになったことは、超越論的哲学とパースペクティヴ主義の間における差異のみならず、両者の間の相互連関性である。近現代哲学の根本的あり方としてこれら両者は、決して排他的なものではなく、車の両輪のような役割を果たしていると考えられる。このことを解明したのが本年度の成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超越論的哲学とパースペクティヴ主義の双方についての哲学的探求がなされたことが[研究の目的]の成果を示している。但し、当初はパースペクティヴ主義としてニーチェ哲学をも取り上げるつもりであったが、この点の研究については十分ではなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ニーチェのパースペクティヴ主義についての研究を踏まえながら、近現代哲学の基本姿勢がどこに存するのかについて研究を深めるつもりである。
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