研究課題
25年度は、場所と形而上学の問題をテーマとする本研究の最終年であり、世界の根本的な断絶を架橋する際の、場所的論理の意義をまとめた。まず、物理的世界は目的なく機械的に展開するが、生物学的世界は目的的言説に満ちている。両方とも「物理的自然」または「生物的自然」についての言説として完結し、架橋されない。これは、それぞれの言説が各々の領域内でのみ成り立つ自然主義的言説であることを意味する。つまり、各々の言説が自然そのものではなく、物質、生命という見方がすでに実在の「限定」であるということであった。また、物質としての脳が、心を生み出すと言う際、そこには埋めることのできない断絶があった。物質をいかに集積させても、その性質から感覚や意識の発生を説明することはできないからである。脳は意識を産出するのか、それとも伝達するにすぎないのか、という問いで、後者の見解が思想史上説得力を持ち続けた理由もそこにあった。さらに、時間は直線的という自然的な見方に従うと、過去も未来も無限になる。ところで、熱力学の第二法則に則る宇宙は、有限時間内に平衡状態に帰する。しかし現在が平衡状態ではないことは、時間が直線的に無限であることに矛盾する、という議論があった。すると「自然」と思われていた直線的時間自体、矛盾を含むことになった。これは、観察可能な事実からは解決できない。しかし、この問いは、私たちの生の意味、世界の意味をおしなべて作り変え得るという意味で形而上学的である。これも論理のフィルターを介した宇宙と、実在する宇宙との乖離であった。こうなると、「自然」でさえすでに概念であり、実在とは異なると言える。すると物質と精神のように分離した自然をつなぐ、新たな概念を作り出すのではなく、むしろ分離を生み出した概念化以前への帰還が、実在への接近への道として考えられた。場所的論理は、こうした道筋のひとつとして確認された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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帝京大学総合教育センター論集
巻: vol. 5 ページ: pp.1-23
宗教研究
巻: 第87巻別冊 第72回学術大会紀要特集 ページ: pp.249-50.
23rd World Congress of Philosophy, Abstracts.
巻: 23 ページ: p.522.