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2013 年度 実績報告書

心の形而上学的諸問題に関する場所論的考察

研究課題

研究課題/領域番号 21520027
研究機関帝京大学

研究代表者

冲永 荘八  帝京大学, 文学部, 教授 (80269422)

研究期間 (年度) 2009-04-01 – 2014-03-31
キーワード自然主義 / 場所 / 形而上学 / 脳と心 / 産出 / 伝達 / 直線的時間 / 実在
研究概要

25年度は、場所と形而上学の問題をテーマとする本研究の最終年であり、世界の根本的な断絶を架橋する際の、場所的論理の意義をまとめた。まず、物理的世界は目的なく機械的に展開するが、生物学的世界は目的的言説に満ちている。両方とも「物理的自然」または「生物的自然」についての言説として完結し、架橋されない。これは、それぞれの言説が各々の領域内でのみ成り立つ自然主義的言説であることを意味する。つまり、各々の言説が自然そのものではなく、物質、生命という見方がすでに実在の「限定」であるということであった。
また、物質としての脳が、心を生み出すと言う際、そこには埋めることのできない断絶があった。物質をいかに集積させても、その性質から感覚や意識の発生を説明することはできないからである。脳は意識を産出するのか、それとも伝達するにすぎないのか、という問いで、後者の見解が思想史上説得力を持ち続けた理由もそこにあった。
さらに、時間は直線的という自然的な見方に従うと、過去も未来も無限になる。ところで、熱力学の第二法則に則る宇宙は、有限時間内に平衡状態に帰する。しかし現在が平衡状態ではないことは、時間が直線的に無限であることに矛盾する、という議論があった。すると「自然」と思われていた直線的時間自体、矛盾を含むことになった。これは、観察可能な事実からは解決できない。しかし、この問いは、私たちの生の意味、世界の意味をおしなべて作り変え得るという意味で形而上学的である。
これも論理のフィルターを介した宇宙と、実在する宇宙との乖離であった。こうなると、「自然」でさえすでに概念であり、実在とは異なると言える。すると物質と精神のように分離した自然をつなぐ、新たな概念を作り出すのではなく、むしろ分離を生み出した概念化以前への帰還が、実在への接近への道として考えられた。場所的論理は、こうした道筋のひとつとして確認された。

現在までの達成度 (区分)
理由

25年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

25年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「生命」はどこにあるのか―ベルクソンの進化と実在についての考察を手がかりとして―2014

    • 著者名/発表者名
      冲永宜司
    • 雑誌名

      帝京大学総合教育センター論集

      巻: vol. 5 ページ: pp.1-23

  • [雑誌論文] 「生命」の存在論―物質・精神・目的をめぐって2014

    • 著者名/発表者名
      冲永宜司
    • 雑誌名

      宗教研究

      巻: 第87巻別冊 第72回学術大会紀要特集 ページ: pp.249-50.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Metaphysics of Pure Experience2013

    • 著者名/発表者名
      Takashi OKINAGA
    • 雑誌名

      23rd World Congress of Philosophy, Abstracts.

      巻: 23 ページ: p.522.

    • 査読あり
  • [学会発表] 「生命」はどこにあるのか―ベルクソンの「跳躍」と西田の生命論を手がかりに

    • 著者名/発表者名
      冲永宜司
    • 学会等名
      日文研共同研究「日本仏教の比較思想的研究」
    • 発表場所
      国際日本文化研究センター
  • [学会発表] 「生命」の存在論―物質・精神・目的をめぐって

    • 著者名/発表者名
      冲永宜司
    • 学会等名
      日本宗教学会
    • 発表場所
      国学院大学
  • [学会発表] Metaphysics of Pure Experience

    • 著者名/発表者名
      Takashi OKINAGA
    • 学会等名
      23rd World Congress of Philosophy: Philosophy as Inquiry and Way of Life
    • 発表場所
      University of Athens, School of Philosophy
  • [図書] 岩波講座『日本の思想』苅部直・黒住真・佐藤弘夫・末木文美士編、第五巻『身と心―人間像の転変』岩波書店、2013年、「古典を読む 西田幾多郎『善の研究』」pp.322-335担当2013

    • 著者名/発表者名
      冲永宜司
    • 総ページ数
      14pp.
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2015-05-28  

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