研究概要 |
今年度は、交付申請書の「研究計画・方法」のところに記載したように、7月にオーストラリアのブリスベンで開催されたInternational Society for the History, Philosophy, and Social Studies of Biology(ISHPSSB)の大会におけるセッション・オーガナイザーとして、われわれの生物学哲学研究の成果を世界に向けて発信した。セッションタイトルは、"The Relevance of Psychological (Cognitive) Perspectives to Biology"というもので、生物学における対象レベルの経験的研究と、メタレベルの方法論的研究の両面において、心理学的・認知的アプローチがどのように貢献しうるかという大枠の下で、合計6人(日本人4人、米国人2人)がそれぞれ異なる角度から話題を提供するというものである。私自身の報告タイトルは"Evolutionary Functional Analysis and Its Methodological Pitfall"というもので、現代人の心を進化的な過去からリバース・エンジニアリングするという進化心理学の「進化的機能分析」と呼ばれる方法論の妥当性を批判的に検討するという趣旨のものである。 また、昨年度の11月に神戸大学で開催された"ISHPSSB Off-Year Workshop in Kobe 2008"において、私が生物学の哲学セッションのオーガナイザーとして海外から招待した研究者から逆招待を受け、9月にソウル大学(韓国)、嶺南大学(香港)、復旦大学(上海)の3ヵ所でセミナー講演を行なった。講演の内容は、ソウル大学と嶺南大学では、ISHPSSBブリスベン大会での報告を発展させたもの、そして復旦大学では、2008年の8月にソウル大学で開催された世界哲学会議で私が行なった一般報告を発展させたものである。
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