1文献収集 キケローの著作のラテン語原典と英語訳、アウグスティヌスの著作の日本語訳などを揃え、トマス・アクィナス『神学大全』の日本語訳を部分的に揃えることができた。古代哲学や中世哲学、キリスト教神学、中世文学などについての主要な二次文献もいくつか入手できた。しかし、特にキリスト教神学についての一次文献と二次文献に関しては、必要な資料が入手できておらず、早急に取り揃えたい。また中世文学関連の文献も22年度までに概ね取り揃える計画であったので、計画通りに遂行できるよう努力したい。 2アミキティア論の検討 キケロー『De Amicitia』で展開されているアミキティアについて西欧中世の思想や文学に対する影響という観点から検討を行った。従来言われているよりも大きな影響を与えているとの感触を得たが、また同時に単純な形には整理しがたい複雑な影響関係も徐々にあきらかになってきた。先行研究も少なく、検討すべき点は多く残されているため、いまだ研究成果を公開する段階にまで至っていない。22年度までに検討する計画であったので、計画通りに遂行できるよう努力したい。 キケロー『De Amicitia』のアミキティア論と、その源泉となったアリストテレス『ニコマコス倫理学』におけるピリア論そのものについても検討計画であったが、未だ本格的には検討できてない。早急に着手したい。 3恋愛観についての描写、背景思想の検討 恋愛が12世紀の発明だと言われる場合に、そこで言う「恋愛」は「恋愛感情」のことを意味しないことをまとめ、論文として研究成果を公開した。「恋愛感情と感情表現と恋愛の範型-恋愛12世紀発明説の再検討-」(『自然と文化』36号、2009年)
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