研究成果は、像と場の内的連関を明らかにしたことである。フィヒテは、三段論法を知の根源的形式として重視する観点から、小前提を事実知としてとらえる独自の視点を提示し、小前提の重要な意義を解明する。すなわち、根源的で事実的な知のうちにあるものを、三段論法の形式において再生産することである。たしかに、事実的知は、法則によって限定される。けれども、どうじに、法則はただ事実においてのみ可視的となる。換言すれば、限定された事実的知のもとで無限な法則がみいだされることをもまた意味する。こうした小前提に凝縮して示されている像こそ江渡狄嶺の場に通底する。すなわち、小前提は、そこにおいて大前提と小前提が出会い、両者が合致する、そうした場なのである。
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