当該年度は、「安全と設計思想について」というテーマのもとで、「設計問題と倫理問題の類似性に着目し、設計問題を解決する方法から、倫理問題を解決する方法を学ぶべきだ」という主張を吟味した。この主張を吟味することによって、工学における設計問題を解決するための方法論は、工学倫理を含む応用倫理学の方法論に新しい視点を提供できるという可能性を明らかにすることができる。このテーマで書いた論考を仲間の研究者に検討してもらい、また、その論考をもとに研究会や生涯学習講座にて講演を行った。当該年度においては、その論考を推敲することによって一本の論文に仕上げることはできなかったが、現在推敲の途中であり、近近完成する予定である。 当該年度は、研究計画の最終年度であるので、これまでの研究成果を一冊の冊子にまとめた。その冊子には、技術者倫理に関連する論文を6本、メタ倫理学に関連する論文を1本収録した。その他に、付録として、本研究期間以外で発表した、本研究に関連する論文を3本収録した。1本は技術者倫理関係の論文で、2本はメタ倫理学関係の論文である。この冊子は、哲学・倫理学を専攻とする研究者に送付して、吟味を依頼している。 時間の余裕があれば、環境問題、政治哲学の問題に取り掛かる予定であったが、その余裕はなかった。これは、次の研究の課題としておきたい。
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