研究課題/領域番号 |
21520051
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
小路口 聡 東洋大学, 文学部, 准教授 (30216163)
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研究分担者 |
吉田 公平 東洋大学, 文学部, 教授 (70036979)
早坂 俊廣 信州大学, 人文学部, 准教授 (10259963)
鶴成 久章 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20294845)
内田 健太 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 講師 (50534666)
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キーワード | 中国哲学 / 王畿 / 良知心学 / 陽明学 / 講学 |
研究概要 |
王畿『龍溪會語』の全訳を目指して起ち上げた研究であるが、初年度は、研究会(読書会)を、5月23日、10月12日、12月6日、2010年3月14日の4回、いずれも、東洋大学で開催し、『龍溪會語」の巻1・2を読了し、第3巻に入った。本研究の柱である『龍溪會語』全6巻の訳注作成の作業は、順調に進行している。10月の会には、ちょうど在外研究員として東洋大学にお招きしていた上海復旦大学の呉震先生にも参加していただき、活発な意見交換を行うことができた。また、第二巻の「三山麗澤録」の訳注については、東北大学の三浦秀一先生に、原稿の校閲をお願いし、貴重なご指摘・意見を多く賜った。毎回、研究会に参加していただいている、本多道隆先生には、仏教関係の事項の読みや典拠について、多くの助言を賜った。具体的な成果としては、これまでに学術雑誌に三回に分けて発表してきた『龍溪會語』巻一の訳注に、修正を加えたものを、『王畿『龍溪王先生會語』巻一訳注』として、閲覧に供するように、合巻して製本し、研究者に配布した。また、新しく訳出した巻二の「三山麗澤録」については、雑誌『白山中国学』通巻第6号(東洋大学中国学会2010.1.)に発表し、その抜き刷りを配布した。『龍溪會語』は、明末に行われた講学・講会の実態を知る上で貴重な一次資料ということもあり、また、詳細な注を付した全訳は本邦初ということもあって、概ね好評であり、早期の完成を期待する声が寄せられた。また、誤読・誤訳、更には、調べの不十分な点について、意見やご指摘をたくさん頂戴したので、今後は、それを元に修正を加えながら、訳の精度を更に高めていきたい。最後に、代表者の小路口聡が、「王畿の一念の思想--王畿良知心学原論(一)--」と題して、まずは「一念」という概念を鍵語に、王畿の良知心学の原理を構造的に明らかにする論攷の連載を開始した(『東洋大学中国哲学文学科紀要』第18号)。
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