最終年度である平成23年度は、まずそれまで進めてきたパンニャーサジャータカ研究の成果を、6月に台湾の法鼓山で開催されたThe XVIth Congress of the International Association of Buddhist Studiesにて研究発表した。パンニャーサジャータカに特徴的な捨身(「内施」と呼ばれる)の物語および、それを行う動機に関する発表で、上記学会のジャータカ研究パネルの諸成果が収められるイギリスのBuddhist studies Riviewの特集号に掲載される予定である。 同年8月から9月にはイギリスに渡った。オックスフォード大学所蔵のタイの装飾写本(BODL MS. Pali a 27)の、主に美術面を中心とした研究書を出版する計画がボードリアン図書館に採択されており、2013年春の出版を目指して、Unfolding the Life of the Buddha: An Illustrated Manuscript from 18th Century Siamと題する著書(ナオミ・アップルトン カーディフ第研究員およびサラ・ショウ オックスフォード大学講師と共著)をまとめることが決まっていたので、そのための共同研究を進めた。上記著書も本プロジェクトの成果である。 続いて、上記研究書出版に関する写本挿絵の読み解き等に関して、さらにタイにおける寺院壁画および文献の調査が必要なことがわかってきたので、再び12月にはタイに赴いた。ワット・ラチャシッタラム寺院を含むトンブリ地区の多くの寺院を調査した。 本年度の残りの期間は、それまでに行ったパンニャーサジャータカの貝葉写本研究に基づき、テキスト作成と翻訳とをすすめた。この成果他は『研究成果報告』としてまとめた。
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